蓄電池ってなに?用途によって使い分け2つの種類
「蓄電池」は近年続く災害の影響もあり、日本で注目され始めていますよね。
産業用の蓄電池は以前から設置されてきましたが、近年では特に家庭用蓄電池への関心の高まりが顕著です。
ただ、まだまだ一般的には「災害時に発電して便利」位のイメージで、あまり詳しく知っている方は少ないかもしれません。
そこで今日は、そもそも「蓄電池」とは何かと、蓄電池の2つの種類についてお伝えします。ぜひ、参考にしてください。
蓄電池ってなに?
用途によって使い分け2つの種類
そもそも「蓄電池」って何?
「蓄電池」とは名前の通り、電気を蓄える装置を指します。私たちに身近な蓄電池と言えば「乾電池」などがありますが、これは「放電」のみの「一次電池」です。
この「放電」に対して「充電」があり、電池を蓄えることを指しますが、一度放電した後にもまた充電ができて、再び放電を繰り返すことができる装置は「二次電池」と言われます。
【 蓄電池とは☆一次電池・二次電池 】
① 一次電池 …
主に「単4」などの乾電池が一度の放電のみで終わる使い捨ての「一次電池」です。乾電池の他、時計などに見るコイン型の電池も、一次電池に入ります。
② 二次電池 …
「放電」のみで使い捨てられる乾電池と違い、放電をした後、再び充電が行われ、何度も放電ができる電池が「二次電池」です。
充電式ですので、ノートパソコンやスマホ(携帯電話)、最近では電気自動車用の電池としても、重宝されてきました。
放電と充電、一次電池と二次電池についてお伝えしてきましたが、ここで「太陽光発電」などに見る「発電」とは何なのか…、疑問に思う方もいますよね。
「発電」はそのまま、電気を発する装置を指していて、現代では前述した「太陽光発電」の他、「燃料電池」なども電気を発する発電装置です。
【 蓄電池とは☆太陽電池や燃料電池 】
① 太陽電池(太陽光発電) …
太陽の光を電気として転換し、発電をします。近年注目される「太陽光発電(パネル)」ばかりではなく、電卓にも多く使われていますし、腕時計などにも付けられてきました。
② 燃料電池 …
太陽を電気に変換する太陽光発電に対して、燃料発電の燃料は水素です。燃料電池自動車で使用される他、家庭用エネファームでも用います。
蓄電池は発電の方法は別として、何度も放電と充電を繰り返すことができる、「二次電池」のひとつです。
最近注目されている「太陽光発電システム」の蓄電池は、昼間の太陽光で発電した電池を蓄電池に蓄え、太陽のない日や災害時に活用しています。
蓄電池の「2つの種類」とは
そんな蓄電池には、昔からある蓄電池「鉛蓄電池」の他、近年家庭用蓄電池として出てきた「リチウムイオン電池」の蓄電池システムがあります。
鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池は、鉛蓄電池はもちろん、リチウムイオン蓄電池でも、それぞれにメリットデメリットがあるのは否めません。
【 蓄電池とは☆鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池 】
① 鉛蓄電池 …
主に産業用として設置された蓄電池で、主に災害時の非常発電機としての役割がありました。家庭用としても販売されたのは、10年ほど前が始まりです。
② リチウムイオン電池の蓄電池 …
近年鉛蓄電池に代わり登場したのが「リチウムイオン電池」の蓄電池です。
鉛蓄電池が従来の災害時用の非常発電として用いられてきたのに対し、リチウムイオン電池の蓄電池は、太陽光発電システムと組み合わせて、日々のエネルギーの流用目的があります。
現在の蓄電池システムには、太陽光発電や「HEMS(Hホーム・Eエネルギー・Mマネージメント・Sシステム)」など、近年のエネルギーの最適利用のための電気システムと切り離すことができません。
蓄電池2つの種類のメリットとデメリット
前項でお伝えした「リチウムイオン電池」の蓄電池は、従来からの「鉛蓄電池」で見られた、さまざまなデメリットを補うために登場しました。
けれども前述したように、リチウムイオン電池の蓄電池が、完璧な訳ではありません。それぞれにメリット・デメリットはあります。
【 蓄電池とは☆メリットとデメリット 】
★ 鉛蓄電池 ★
《 メリット 》
・ 価格帯が安い
《 デメリット 》
・ 容量に対して、設備が大きく重い(体積・重量)
・ 容量に対して、持ちが悪い(寿命が短い)
…ただし鉛蓄電池の安さから、設備を設置するのに充分な敷地のある工場や施設などでは重宝され、寿命は短いながらも、時々しか使用することのない「非常用」として、産業用としての需要は多いです。
★ リチウムイオン電池の蓄電池 ★
《 メリット 》
※ 鉛蓄電池と比較して…
・ 容量に対してコンパクト
・ 容量に対して持ちが長い(寿命が長い)
《 デメリット 》
※ 鉛蓄電池と比較して…
・ 容量に対しての、コストが高い
…このような事情から、家庭用蓄電池としてはリチウムイオン蓄電池の需要が高いです。
特に近年では災害も頻発し、停電を経験した方も多いため、太陽光発電システムなどの自家発電も兼ねた蓄電池として、リチウムイオン電池の蓄電池システムを導入する家庭が増えてきました。
蓄電池2つの種類の価格を比較
家庭用のリチウムイオン電池の蓄電池でも、さまざまなメーカーや種類が出ているので、一概には言えませんが、某メーカーの会社の鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池を比較してみます。
【 蓄電池とは☆2種類の蓄電池の価格帯 】
① 鉛蓄電池 … 某鉛蓄電池製品の市場価格、容量などの事例です。
・容量 … 10kWh(使用可能容量6kWh)前後
・寿命 … 最長で5年
・価格帯 … 200万円前後
鉛蓄電池は体積と重さを要することもお伝えしました。この製品の例では、重量は500kgを超えています。
② リチウムイオン電池の蓄電池 … コチラも某製品を一例とします。
・容量 … 11kWh(使用可能容量10kWh)
・寿命 … 10年前後
・価格帯 … 300万円前後
リチウムイオン電池の最大の特徴は「軽量でコンパクト」ですので、この製品でも鉛蓄電池と比べて軽く、1/2の250kgの重さです。
ただ、この一例でも分かるように、パフォーマンスもよくコンパクトで便利な分、価格帯は鉛蓄電池と比較しても、割高になることは否めません。
生活に不可欠な「蓄電池」
今、「蓄電池」と言うと家庭用蓄電池を真っ先に思い浮かべますが、日々の暮らしのなか、あらゆる用途で用いられ、今や欠かすことのできない存在です。
割安な鉛蓄電池、高性能で軽量なリチウムイオン電池の蓄電池については、さまざまにお伝えしましたが、これら以外にも、いくつかの種類があります。
【 蓄電池とは☆暮らしのさまざまな蓄電池 】
① アルカリ蓄電池 … 乾電池や電子機器などに用いる、軽量な蓄電池です。ニッケル水素電池や、ニカド電池があります。
② NAS電池 … 私たちが直接関わることはほぼありませんが、大型設備で用いられるケースが多い、大容量の蓄電池です。
③ レドックスフロー電池 … こちらもNAS電池と同じく、大容量の蓄電池で、大型施設で用いられます。
今でも鉛蓄電池はみられるものの、ノートパソコンや電気自動車と…、現代の最新機器に用いられる蓄電池は、ほとんどがリチウムイオン電池となりました。
いかがでしたでしょうか、今日は家庭用蓄電池を検討し始めた方々へ向け、「そもそも蓄電池とは?」を分かりやすく解説しました。
大きな災害が目立つようになった昨今、災害用としての蓄電池を探す家庭も多いです。「あくまでも非常時用」とするならば、鉛蓄電池は安価で手に入れやすいかもしれません。
一方、電気の有効利用や、後々の太陽光発電システムを検討しているのなら、何度充電と放電を繰り返しても、比較的寿命の長いリチウムイオン電池の蓄電池が安心です。
家庭用蓄電池であるならば、軽量・コンパクトな分導入もしやすいので、初期費用は掛かりますが、後々は賢い選択ではないでしょうか。
それぞれの用途に合わせた適切な選択で、納得できる選択をしてください。
まとめ
蓄電池とは
・放電と充電を繰り返す「二次電池」
・鉛蓄電池とリチウムイオン電池の蓄電池がある
・鉛蓄電池は安いけれど重く、寿命が短い
・リチウムイオン電池は軽くコンパクトだが割高
・日々の暮らしに使うならリチウムイオン電池
・産業用の災害時なら鉛蓄電池の選択も良い