太陽光発電に蓄電池を後付け☆賢い導入のための選び方
令和に入り、時代は「太陽光発電+蓄電池」となりましたよね。固定価格での売電買取り10年保証となる「FIT制度」が本格的に施行された2012年には、太陽光発電は導入しても蓄電池までは手が届かない価格帯でした。
けれども今では太陽光発電システムも蓄電池も、それぞれに多様な家庭用機器が普及し、それに合わせて、一般家庭でもグンと現実的な価格帯が実現しています。
ですから2021年現在、新しく太陽光発電を設置する家では、蓄電池もセットで導入してしまうケースがほとんどです。けれども以前に太陽光発電を導入した家の多くは、価格帯はもちろん売電単価の問題もあったため、蓄電池を併用していない家庭が多くあります。
そんななか、今では以前に太陽光発電を導入した家庭が蓄電池を後付けする流れが起きているのですが、現在設置している太陽光発電と新しい蓄電池との相性なども分からず、「何を選んだら良いのか…」との相談も増えました。
そこで今日は、以前から設置している太陽光発電に蓄電池を後付けしたい家庭に向け、何を選んだら良いのかを、導入時のポイントや注意点とともにお伝えします。
太陽光発電に蓄電池を後付け☆
賢い導入のための選び方
「パワーコンディショナー」とは
もともと設置している太陽光発電と相性の良い蓄電池を選ぶためには、まず、電力の変換に不可欠な「パワーコンディショナー」について理解しておかなければなりません。
このパワーコンディショナーの状態によって、その太陽光発電に適切な蓄電池も分かるのですが、では、「パワーコンディショナー」とは、どのようなものなのでしょうか。
【 太陽光発電に蓄電池を後付け☆パワーコンディショナーとは 】
☆ パワーコンディショナーとは、いわゆるインバーター(電流を直流⇔交流へと変換するためのモータ回転数の制御装置)のひとつです。
→ 太陽光発電で創る電力は直流なのですが、家庭内で使用する電力は交流なので、パワーコンディショナーでの変換なしには、せっかく太陽光で創電をしても家庭内で使用できません。
※ さらにインバーター機能のみならず、電力を一定の電圧に保つ役割を果たしてくれます。(コンバーター機能)
そして実は、太陽光発電と同じように蓄電池もパワーコンディショナーが必要になるので、この太陽光発電と蓄電池のパワーコンディショナーをどのように後付けで導入するのか、がひとつの焦点と言えます。
…ですから、太陽光発電や蓄電池にはパワーコンディショナーは必須の機器なのですが、ここでのポイントは、太陽光発電システムの寿命よりもパワーコンディショナーの寿命が短い点です。
そのため、太陽光発電システムが寿命を迎える前に、パワーコンディショナーは数回の寿命を迎えるため、何度か交換をしなければなりません。
このパワーコンディショナーの状態によって、太陽光発電に後付けする蓄電池の相性が違ってくると考えてください。
※ 以後、パワーコンディショナーを略して「パワコン」としてお伝えしていきます。
パワコンをそれぞれ設置するか、ひとつにまとめるか
ここでなぜ、太陽光発電に蓄電池を後付けする際、太陽光発電のパワコンの寿命を気にするのかと言えば、太陽光発電と蓄電池それぞれに不可欠なパワコンを、それぞれ一個ずつ付けるのか、ひとつにまとめるのかを選択するためです。
太陽光発電のパワコンはどちらにしろ、いずれ寿命が訪れますから、その交換のタイミングと合うならば、蓄電池を後付けするタイミングでふたつをひとつにまとめたパワコンに変えてしまう選択もあります。
【 太陽光発電に蓄電池を後付け☆パワコンの種類 】
① 太陽光発電のパワコンがまだ問題がないのであれば、蓄電池単体を設置してしまう方法がシンプルです。
→ この場合、「単機能型(蓄電池)」を選びます。蓄電池単体で機能しますので、太陽光発電用のパワコンと、蓄電池用のパワコンとの2つのパワコンを設置することになります。
② 太陽光発電のパワコンの寿命が迫っている(故障の心配があるなど)場合には、太陽光発電用パワコンを撤去してしまい、新たに蓄電池と一体化したパワコンと交換します。
→ このような太陽光発電と蓄電池の一体型パワコンが「ハイブリッド型(蓄電池)」です。
ここで、「ハイブリッド型」の名前のイメージからか、①の「単機能型」のパワコンがハイブリッド型と比較して、前期型とのイメージも多いのですが、単純に「単機能(蓄電池にのみ対応する)」だけですので、その他の機能に優劣はありません。
特に「単機能型蓄電池は夜間電力を蓄電するのみで、太陽光発電による電力は蓄電できない」などの勘違いもありますが、単機能型蓄電池でも太陽光発電による電力を蓄電できます。
むしろ、ハイブリッド型であっても単機能型であっても、太陽光発電に蓄電池を後付けしようとする際には、それぞれにメリットもあればデメリットもあると考えてください。
その双方のメリット・デメリットを理解したうえで適切な選択をすることで、後々まで快適に賢く活用する選び方ができます。
次項より、それぞれのメリットとデメリットを検証していきますので、参考にしてください。
単機能型のメリット・デメリット
太陽光発電に蓄電池を後付けする際、単機能型のパワコンを選ぶと言うことは、蓄電池が全く独立して機能することが可能である、…とも言えます。
ですから、太陽光発電の不具合などに引っ張られることがなく、太陽光発電と蓄電池の双方向から、災害などに対する対策が取れている点がメリットです。
【 太陽光発電に蓄電池を後付け☆単機能型蓄電池 】
● 単機能型蓄電池のメリット
・ 災害対策(停電など)で太陽光発電に不具合が起きても、蓄電池が単独で機能する。
・ ハイブリッド型蓄電池と比較して、安価で購入できる。
・ 太陽光発電システムの保証が残る(※)。
● 単機能型蓄電池のデメリット
・ 太陽光発電と蓄電池、それぞれのパワコン2台の設置スペースが必要。
・ 太陽光発電のパワコン→蓄電池のパワコンと、2回の電気変換によるロス。
・ 太陽光発電パワコンが故障した時、修理費用が掛かる(交換もアリ)。
(※)太陽光発電システムの保証が残る、と言う意味合いは、実は太陽光発電に後付けで蓄電池を設置する場合、パワコンをひとつにまとめるハイブリッド型蓄電池を選択すると、太陽光発電本体の保証が外れてしまうためです。
通常、太陽光発電システムはどのメーカーも長期保証を付けているのですが、パワコンを交換してしまうために、その機能もいじってしまうことになり、結果的に太陽光発電システムを設置した当初に受けた保証期間を享受できません。
けれども、単機能型蓄電池はそれぞれにパワコンが付く単体型なので、太陽光発電システムを蓄電池導入時にいじることはなく、太陽光発電システムの保証期間を全うできます。
反対に、単体で機能する単機能型蓄電池ですから、太陽光発電システムの保証期間が終わった後に故障を起こしたとしても、蓄電池の保証期間とは関係がありませんから、修理や交換費用が別途掛かる点がデメリットです。
ハイブリッド型蓄電池のメリット・デメリット
では、太陽光発電のパワコンが老朽化しているケースでは、太陽光発電と蓄電池のパワコンを一体化してしまう「ハイブリッド型蓄電池」の選択がおすすめですが、この場合にはどのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。
考え方としては単機能型蓄電池の反対で、良い意味でも悪い意味でも、パワコンを通して太陽光発電と蓄電池が一体化している、ということがポイントです。
2021年現在では、太陽光発電導入時に蓄電池も一緒に設置してしまうパターンが一般的ですが、この場合の多くがハイブリッド型蓄電池を利用しています。
【 太陽光発電に蓄電池を後付け☆ハイブリッド型蓄電池 】
● ハイブリッド型蓄電池のメリット
・ パワコンが一台で済むため、設置スペースに場所を取らない。
・ 一度の電気変換で済むのでロスがない。
・ 蓄電池の保証期間を享受できる。(※2)
● ハイブリッド型蓄電池のデメリット
・ 単機能型蓄電池と比較して割高。
・ 太陽光発電システムの回路確認が必要(※3)。
・ 太陽光発電システムの保証問題(※4)
(※2)太陽光発電と蓄電池のパワコンを一体化させるために、故障が起きた時には蓄電池の保証期間を享受できます。
特に2010年前後の太陽光発電システムの場合、多くが10年保証でした。(現在は一般的な保証期間が太陽光発電では25年、蓄電池は15年前後です。)ですから、10年の保証期間を超えてからのハイブリッド型蓄電池の後付けは、故障時に便利です。
(※3)太陽光発電システムに本来備わっていたパワコンとは違い、太陽光発電パネルの回路設計を満たしているのかを確認してください。満たない場合には、せっかく多く発電していても、その電力を活用できません。
(※4)太陽光発電メーカーでは、パワコンも含めてセットで保証をしていますので、そのなかの一部を交換する(いじる)ことで、保証を抹消されるケースが多いです。
ですから太陽光発電にハイブリッド型蓄電池を後付けすることで、パワコンを「いじる」と、太陽光発電ではなく蓄電池の保証期間は享受できる一方、太陽光発電の保証がなくなることが多いと考えてください。
☆ さらに、太陽光発電メーカーのなかには、蓄電池の後付けによるパワコンの交換を一定年数(10年など)禁止しているメーカーもありますので、事前に確認し注意をしてください。
いかがでしたでしょうか、今回は太陽光発電に蓄電池を後付けする際の基礎知識をお伝えしました。
2010年頃は太陽光発電は設置できても、蓄電池が破格に高い時代がありましたが、2021年には100万円台~200万円台の大容量の蓄電池の他、災害対策のみであれば50万円前後のお手軽な蓄電池も登場しています。
なかでも大容量でありながら140万円前後で購入できるスマートマターLは、その容量に対してのコストパフォーマンスが高く、多くの一般家庭で太陽光発電にセットする蓄電池として人気です。
通常、同じようなタイプの蓄電池であれば200万円以上はするなかで、スマートマターLがこのコストパフォーマンスを実現するのには、シャープなどのブランドではなく、業界的にはルーキーの長州産業によるラインアップであることも理由のひとつと言えます。
ここまで太陽光発電に蓄電池を後付けする賢い選択肢をお伝えしてきましたが、最も大切なポイントは業者選びです。
不要のパワコンの処理やアフターケアまで、施工工事に詳しく信頼のおける施工業者をぜひ、選んでください。
まとめ
太陽光発電に蓄電池を後付けするポイントとは
・パワコンの状態が判断基準
・パワコンの交換時期であればハイブリッド型
・パワコンが元気ならば単機能型
・単機能型は変換ロスがある
・ハイブリッド型は割高
・太陽光発電のパワコンをいじると保証も抹消されることが多い
・ハイブリッド型は蓄電池の保証を享受できる