【2023年太陽光発電】インボイス制度とは?一般家庭に登録はいらない?損をしない!
2023年、太陽光発電では売電している一般家庭にも、インボイス制度登録の案内ハガキが資源エネルギー庁から届きました。
現在は反省や見直しから案内ハガキは止まっているものの、地域の電力会社から検針票とともにインボイス制度登録の案内が届いています。
・「インボイス制度の登録準備はお済みですか?」のハガキが来た!
・FIT事業者(売電)はインボイス制度の登録が必要なの?
・インボイス制度でFIT事業者(売電)は損をする?
「2023年になって太陽光発電の売電をする一般家庭は、インボイス制度で損をする?」などの相談が増えていますが、一般家庭においては勘違いです。
今回は2023年に騒がれる太陽光発電を売電する一般家庭で、インボイス制度について損をしないよう理解したい、3つの勘違いをお伝えします。
インボイス制度とは?
●インボイス制度とは「インボイス(適格請求書)」を提出しないと、消費税控除ができないと言う、消費税の新しいルールです
インボイス制度とは2023年10月1日から始まる消費税の新しいルールで、正式には「適格請求書等保存方式」であり、「インボイス」は国が規定した請求書形式となります。
ただ2023年に太陽光発電で売電する一般家庭で、インボイス制度の登録はほぼ必要ないでしょう。
資源エネルギー庁はインボイス制度登録のご案内を年間売上1,000万円以上を対象としているからです。
●インボイス制度対象者…(消費税)課税事業者
・(消費税)課税事業者…年間1,000万円以上の売上
・(消費税)免税事業者…年間1,000万円未満の売上
単純計算をしても(消費税)課税対象者となり得る、年間1,000万円以上の売電売上は月間84万円以上、その設備投資となれば億単位になるでしょう。
☆ただし個人事業主や自営業では、全て含めて年間売上1,000万円以上で対象者です
けれどもサラリーマン家庭など、2023年に太陽光発電で売電する一般家庭では、インボイス制度の対象に入らないケースがほとんどでしょう。
(1)売上1,000万円未満なら登録は必要ない!
●2023年に太陽光発電で売電する一般家庭は、インボイス制度の登録を必要としない「(消費税)免税事業者」が多いです
一般家庭の戸建住宅に設置された太陽光発電から、電力会社に余剰電力を売電したとして、ほとんどは数万円~十数万円、10年間の売電単価を保証するFIT制度を通して初期費用を賄う家庭が多いでしょう。
そう考えると、2023年に太陽光発電で売電する一般家庭のほとんどがインボイス制度を必要としない、免税事業者です。
・自営業(個人事業主)で、年収が1,000万円以上
・法人(企業など)で太陽光発電の売電収入がある
・現在、(申請などで)消費税の課税事業者である
太陽光発電くらいしか副収入のない一般的なサラリーマン家庭であったり、特別な申告をしていない家庭であれば、2023年に太陽光発電の売電へ一般家庭にインボイスの案内が来ても、登録する必要はありません。
[参考]国税庁「会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却」
でも、資源エネルギー庁から案内が来た!
●資源エネルギー庁では現在、反省と見直しにより案内ハガキの送付が保留されています
ただなかには2023年に入り、太陽光発電の売電者に対して一般家庭へもインボイス制度の登録案内が届きました。
「インボイス制度の登録準備はもうお済みですか?」…そう書かれた国からのハガキを見て「正直焦った!」との声は少なくありません。
●資源エネルギー庁では、当初約120万件以上のFIT認定事業者(太陽光発電の売電者)に対し、一般家庭も含めて送付予定でした。
…現在、約50万件ほどで案内ハガキの送付を保留し、見直しを進めています。
けれども、個人も含めた再生可能エネルギー発電事業者である「FIT認定事業者」に対し、一般家庭も含めて一律で送っていたようです。
このようなことから、上記「免税事業者」に該当する、2023年に太陽光発電を売電中の一般家庭なら、案内ハガキが来てもインボイス制度の登録は必要はありません。
[参考]インボイス制度の導入に伴うFIT制度運用上の対応について
個人事業主も登録しているけど?
●年収1,000万円未満のフリーランスや自営業者がインボイス制度の登録をしているのは、取引先が年収1,000万円以上の企業だからです
2023年の太陽光発電の売電について、一般家庭にインボイス制度の登録が必要ないことをお伝えすると、「知人はフリーランスで年収も1,000万円未満だけど、インボイス制度の登録をした…」との質問も多くあります。
・売上1,000万円以上の企業…取引先にインボイス登録番号があると消費税控除ができる
・取引先が企業のフリーランス…インボイス登録番号が求められる
・FIT事業者(売電)…電力会社との取引のみ(基本的に求められない)
年間1,000万円以上の売上がある企業にとっては、税金納付で少しでも控除したいので、取引先が消費税の支払いを証明できる「インボイス登録番号」を持つ、インボイス登録事業者である方が得です。
つまり、企業にとってはインボイス登録をしていない事業者と取引をすると、相手の消費税分を負担しなければならないのですね。
(2)「免税事業者」は買取価格の影響はない!
●2023年に太陽光発電で売電をする一般家庭が、インボイス制度の登録を行わないからと言って、電力の買取単価に変更はありません
2023年2月10日に行われた「財務金融委員会」にて名言されました。
これは2023年に太陽光発電システムを設置した一般家庭でも同じで、インボイス制度の登録は必要ありません。
☆2023年2月10日、財務省は太陽光発電で売電する一般家庭について、インボイス制度の導入、消費税の課税はしないことを明言しています。
ちなみにFIT制度は太陽光発電を設置し、承認された年の売電単価(固定買取価格)で、以降10年~20年の売電を保証する制度です。(売電余剰電力量×固定買取単価=収入)
けれどもこのFIT制度を支える電気料金とともに請求される「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」の負担が大きくなり、2022年度より変動価格のFIP制度へ移行しています。
・【2023年太陽光発電】FIP制度とは?FIT制度との違い、蓄電池が良い3つの理由
(3)一般家庭の消費税分は?
●一般家庭の消費税を電力会社が負担することを理由に、電気代が大きく変動することはほぼありません
確かに2023年、太陽光発電の売電をする一般家庭がインボイス制度の登録をしないと、その世帯の売電に対する消費税は、買い取る電力会社が負担することになるでしょう。
(インボイス登録番号が発行されないため、消費税の控除がされません。)
けれどもインボイス制度の案内対象である年間1,000万円以上の事業者の電力と比べて、その影響は微々たるものです。
(1)一般家庭からの電力買取金額…約3,000億円
(2)消費税(約10%)…約300億円
(3)家庭消費電力(約30%)…約90億円
(4)世帯数(約5,000万世帯)…約180円
…以上のことから、2023年に太陽光発電の売電をする一般家庭が、インボイス制度に登録しないことで起こり得る、1世帯あたりの負担は約180円と算出されます。
[参考]一般社団法人グリーンピース・ジャパン「電気をたくさん使っているのは誰?」
最後に:
今回は2023年に太陽光発電の売電をする一般家庭で相談が多い、インボイス制度の登録の可否、損をするかどうか?について解説しました。
2023年、太陽光発電を売電する一般家庭にとっては、インボイス制度のみならず、FIT制度からFIP制度への切り替えなど、さまざまな選択が求められ、過渡期に入ります。
けれども一方で電気代の上昇が続き、太陽光発電の新たな用途・メリットを見出す家庭も多いです。FIT制度からFIP制度への切り替え、電気代の上昇に伴うポイントは蓄電池でしょう。
・【2023年太陽光発電】蓄電池とは?「太陽光発電+蓄電池」のメリットデメリットとは
まとめ
<太陽光発電>
一般家庭でインボイス制度登録が不要な3つの理由
●インボイス制度登録は1千万円以上の事業者が対象●インボイス登録が必要なケース
・自営業(個人事業主)で、年収が1,000万円以上
・法人(企業など)で太陽光発電の売電収入がある
・現在、(申請などで)消費税の課税事業者である●一般家庭で不要な3つの理由
・年収1,000万円以下は(消費税)免税事業者
・登録をしなくても買取単価に影響はない
・一般家庭の消費税分の負担は約180円/1世帯