沖縄で「卒FIT」の2019年☆その後に選ぶ3つの道
沖縄でも「卒FIT」の声が聞こえてきましたよね。そもそも「FIT」は「Feed in Tariff」の頭文字で、和訳をすると「再生エネルギーを固定価格で買い取る」と言う意味合いです。
…太陽光発電システムを導入した側から見ると、「売電収入が固定され、安定する制度」と言えますが、この「FIT」は10年保証となり、導入から10年を超えると、現在の価格で売電されることになります。
これを「卒FIT」と言いますが、2019年頃から沖縄でも「卒FIT」を迎える家庭が増え、「これからどうするか…」と戸惑う声も聞こえるようになりました。
そこで今日は、沖縄で「卒FIT」を迎える家庭へ向け、その後の可能性となる「3つの道」と共に、どの道が最も良いのか…、比較検討してみます。どうぞ、ご参考にしてください。
沖縄で「卒FIT」の2019年☆
その後に選ぶ3つの道
沖縄で見られる「卒FIT」問題
冒頭でお伝えしたように、太陽光発電システムが出回り始めた当初に導入した家庭では、「FIT」と呼ばれる「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を利用して、安定した売電収入を得ることができました。
当時の売電価格自体も現在よりも各段に高く、屋根にある程度の広さがあれば、節約どころか家計が潤うほどの「副収入」として重宝された時代もあります。
年々売電価格が上がっていたり、少なくとも横ばいであれば、沖縄でも「卒FIT」に戸惑う声は少なかったのかもしれません。けれども、今では全国的に「2019年問題」とまで言われるようになりました。
【 沖縄で「卒FIT」☆売電価格の下降 】
★ 一例として計算してみると、2010年2月に太陽光発電を導入した家庭での、沖縄電力の「FIT」での固定売電価格は、48円/kWhでした。
・ この過程では10年間後の2020年2月に、沖縄で「卒FIT」を迎えます。
→ 沖縄電力で見ると卒FIT後の売電価格は48円/kWh→7.5円/kWhの下落です。
この下がり具合を見るだけで、計算せずともいかに収入に違いが出るか…、分かりますよね。これがいわゆる「2019年問題」沖縄の「卒FIT問題」です。
「話が違うじゃないか!」と言う人々
実は、沖縄に限らず「卒FIT」問題(2019年問題)は、全国的に多くの人々が戸惑いを隠せません。
…と言うのも、48円/kWhは優遇された保証内容だとしても、沖縄でも卒FIT後は、せめて半額の売電価格に留まることを想定して、太陽光発電を導入した家庭が多いからです。
【 沖縄で「卒FIT」☆国の変わる発表 】
★ この「FIT」が発表された当初、国ではFIT後(つまり10年後)の売電価格予想は「24円/kWhを想定する」と併せて表明していたからです。
→ これが沖縄でも卒FITが2019年を目途に近づいてきた2016年度になって、「卒FIT後は11円/kWh」を目安として発表をし始めます。
→ そして、いよいよ沖縄でも卒FITを迎える家庭が多い2019年度…、実際の沖縄電力の売電価格は前述した通りの「7.5円/kWh」まで下がりました。
かなり大雑把な計算ですが、7円/kWhとして考えれば、当初は1/2の24円/kWhと想定して太陽光発電を導入した家庭が、いざ10年の保証期間(FIT期間)を終えると、1/6まで激減していた計算になります。
これが沖縄の「卒FIT」問題、「2019年問題」などと揶揄される所以です。
沖縄で「卒FIT」後の3つの道
けれどもそんな状況下でも、今から太陽光発電を導入する家庭や、家庭用蓄電池を購入する家が増えています。
これは一重に「売電目的」だけではなく、「災害対策」や「節電」、「エコ生活」を目的としたケースが多くなった結果です。
さらに時代は電気自動車(EV車)へと変化しており、太陽光発電やEV車と連携して、一家族で電力を発電し賄う「自家発電」を目指す家庭が増えつつあります。
このことを踏まえ、2019年度を皮切りに沖縄で「卒FIT」を迎える家庭では、「売電目的」から「自家発電」へと意味合いを変える家庭が見受けられるようになりました。
【 沖縄で「卒FIT」後に見られる「3つの道」とは 】
① 何もアクションを起こさずに、そのまま売電を続ける道
② 安価な価格で売電せずに、太陽光発電を効率的に消化するため、主に日中に電気稼働を行うことができるような生活へスイッチする道
③ 家庭用蓄電池を導入して昼間に発電した太陽光発電の電力を充電し、節電へとシフトする道
…考えられるのは以上の3つの道です。
とは言っても、「今だからこそ」太陽光発電システムを導入する家庭も多い点は確かで、年々全国で災害が増えた現代の停電対策としてだけではありません。
これから先、電気料金はどんどん上がることも予測されています。今太陽光発電システムを取り入れる家庭では、だからこそ「少しでも自家発電によって電気料金を少なくする」目的が大きいです。
この点を踏まえて、現存する太陽光発電システムを、今に合わせた使い道にシフトしていくことがポイントと言えます。
何もアクションを起こさない
前述の最初の道「何もアクションを起こさない」パターンでは、そのまま必然的に売電価格が下がり、収入が下がるものの、下がった状況を維持する暮らしです。
【 沖縄で「卒FIT」★アクションを起こさない 】
★ 「売電価格が大幅に下がるんだ~」と漠然と考えたまま、沖縄で「卒FIT」を迎えた場合には、前述した通り6割~8割の収入減となります。
・ 今まで太陽光発電を売電用にしてきたために、今まで通りの電気料金が別途、掛かります。
電力生活を日中に回す
一方、日中の太陽光発電を自分達で使用する案は、少し生活をスイッチするだけのようにも思えますが、例えば共働き家庭であれば、どうしても夜間電力が上がってしまうことは否めません。
【 沖縄で「卒FIT」★日中の電力生活 】
★ それでも洗濯機や炊飯器など、予約ができるタイプの家電は、予約をすることで日中へずらすことは可能です。
・ また充電が必要な機器類は、一般的に夜中に寝ている時に充電するケースが多いですが、朝出掛ける前に充電をして、帰ったら外す…、と言う方法もあります。
食事も最近では作り置きができますから、土日に作り置きした常備食を帰宅後にいただくことなど…、工夫はできるかもしれません。
…とは言え、やはり夜に帰ってくれば電気も付けますしTVなども、節約のためだけに見ないとなれば、かなりのストレスです。
ちなみに、沖縄電力では夜間の電気料金が安いプランがあるので、オール電化と共にコチラへ切り替える家庭は増えました。…ただしこれは…、沖縄の卒FIT問題とは、あまり関係がないかもしれません。
家庭用蓄電池を導入する
最後の家庭用蓄電池の導入は、2019年問題を機に増えている事案です。
国としてもこの案を提唱している部分があり、2019年度から導入費用の補助金が4年ぶりに復活したり、家庭用蓄電池自体も一時期よりも価格帯がグンと下がり、求めやすくなりました。
【 沖縄で「卒FIT」☆家庭用蓄電池の導入 】
★ それでもあまり安い家庭用蓄電池では、有効に売電ができないケースもありますし(※)、やはり大手メーカーで品質の良い、信頼できる機器を導入しようと思えば、170万円など、それなりの導入コストは掛かります。
→ そこで沖縄で「卒FIT」を迎える家庭に多い事例が、太陽光発電システムのパワーコンディショナの交換と共に、家庭用蓄電池も導入し、両方をまとめたソーラーローンを組むケースです。
太陽光発電システムも経年劣化は否めません。そのために交換が必要になったタイミングで家庭用蓄電池を取り入れる事例が増えました。
この頃には丁度、太陽光発電システムを導入した時のソーラーローンも完済している家庭が多いため取り入れやすいです。
(※)安い家庭用蓄電池を進める業者については、別記事「家庭用蓄電池の寿命を延ばす☆快適に使う5つのコツ」も併せてご参照ください。
いかがでしたでしょうか、今日は2019年度から徐々に増えてくる、沖縄で「卒FIT」を迎える家庭へ向け、卒業後の3つの道筋をお伝えしました。
結論を見てみると、家庭用蓄電池の導入が最も有用ではありますが、導入時の初期費用も掛かりますので、本文中にもあるように、パワーコンディショナの交換時期までは、他の道筋を選ぶ方法もひとつです。
全国的に災害が頻発する昨今、太陽光発電地だけでは確かに夜間は電力を享受出来ないものの、日中は太陽が当たれば…、曇り空でも、最低限の電力生活は可能です。
(※詳しくは別記事「太陽光発電で災害に備える☆停電時5つのポイント」に詳報しています。)
これからは自家発電、エコ生活の時代です。売電目的としては今までのようには行きませんが、目的と気持ちを切り替えてみると、意外にもこの太陽光発電システムが重宝しているのかもしれません。
まとめ
FITを終了した後の道筋とは
・10年間の固定売電価格制度が「FIT」
・FITが終了すると約1/6前後まで激減する
・当初国はFIT終了後も半額程度と発表した
・FIT後そのまま売電生活を続ける方法
・FIT後日中の電力生活に切り替える方法
・家庭用蓄電池を導入して自家発電を目指す方法
・パワコンの交換と併せて蓄電池導入をする例も多い